交通事故の逸失利益とはなにか?概要を解説いたします。

逸失利益とは

交通事故における逸失利益とは後遺症が残ったり死亡することで減少した収入のことです。後遺症が残った場合の逸失利益は基礎収入と労働能力喪失率、労働能力喪失期間によるライプニッツ係数を掛けて計算します。基礎収入とは事故当時の収入で、労働能力喪失率は自動車損害賠償保障法に基づいて定められています。

ライプニッツ係数は交通事故の逸失利益を計算する際に使用される数値です。

逸失利益の算定に使用される基礎収入は会社員などの給与所得者、自営業者など個人事業主、会社役員、主婦などの家事従事者、無職者、学生などで違いがあります。会社員などの給与所得者は事故前の実収入が基礎収入とされます。

自営業者など個人事業主は確定申告額、会社役員は労働部分、主婦などの家事従事者と無職者、学生は賃金センサスが基礎収入になります。賃金センサスとは厚生労働省が昭和23年から毎年実施している「賃金構造基本統計調査」の結果をまとめたものです。

事業所が属する地域や企業の規模別に、雇用形態、就業形態、職種、性別、年齢、学歴など労働者の属性別に賃金の実態を明らかにします。

労働能力喪失率を考慮する

労働能力喪失率は怪我によりどの程度働けなくなったかを割合で表示したものです。交通事故では労働災害の基準を参考にしたものが使用されています。労働能力喪失率表では要介護1級から第3級に該当する場合に喪失率が100%とされます。

逸失利益の算定には労働能力喪失期間も重要です。症状の固定時から、一般的に労働が可能とされる67歳までが労働能力喪失期間とされます。症状固定とは治療を行なってもこれ以上回復しない状態になることです。

後遺障害診断書の日付が症状固定時とされる事例が多く見られます。67歳から後遺障害診断書の日付当時の年齢を引けば、労働能力喪失期間を算定できます。ただし未成年者や未就労者、高齢者、むち打ちの方は例外とされます。労働能力喪失期間の未成年者には未就労者も含みます。期間は仕事を開始した時点から計算するので、大学を卒業するかどうかで計算期間が異なります。

大学を卒業した場合は22歳から、その他の場合は18歳から計算します。高齢者は症状固定もしくは死亡時の年齢から67歳までの年数が簡易生命表で求めた平均余命年数の2分の1以下の場合に、平均余命年数の2分の1が労働能力喪失期間とされます。簡易生命表は厚生労働省のサイトで確認できます。

むち打ちで後遺障害等級の第12級13号か第14級9号に該当する場合は、労働能力喪失期間が制限される可能性があります。これらの後遺障害では労働能力喪失期間が5年から10年に制限されますが、症状によってはさらに長い期間が認められた裁判例も存在します。

前例から割り出される

逸失利益とは健康であれば将来取得するはずだった収入です。交通事故の示談交渉では一括して保険会社から支払いを受けることができます。将来受け取るはずだった収入を現在受け取ると、貯金することで利子を得ることが可能となります。そのため逸失利益の計算では利息分を減らす必要があり、ライプニッツ係数を掛けて調整します。

逸失利益の賠償額から利息分を控除するには、ライプニッツ係数を掛ける方法の他にホフマン方式と呼ばれる方法があります。一般的にはライプニッツ係数により計算が行われています。

民法では法定利率が年5%とされているため、ライプニッツ係数も年5%をもとに定められます。

交通事故の逸失利益とは後遺症が残った場合に補償されるものです。たんに怪我をしただけで後遺症が残らない場合は、補償を受けることができません。交通事故の後遺症は後遺障害と呼ばれ、怪我の程度に応じて等級が定められています。実際に補償を受けるためには、後遺障害等級の認定を受ける必要があります。