診断書は命綱?交通事故被害者が取るべき行動をまとめました

交通事故診断書

ある日突然、交通事故に遭ってしまったら、誰もが戸惑い、次に取るべき行動が分からず、正常な判断が難しくなってしまうものです。しかし、万が一の事態に備えて日頃から準備をしておけば安心です。もちろん、既に事故に遭ってしまった人であっても、できるだけ早期に、適切な行動を取っていれば、加害者との交渉を有利に進めることができるでしょう。ここでは交通事故後に被害者が取るべき行動について説明していきます。

先ずは交通事故の種類を把握しよう

交通事故というと、どのような状況を想像しますか?大切にしていた車が破損してしまった、後ろから追突されてムチ打ちになってしまった、或いは長期入院を必要とする重傷を負ってしまった、最悪、同乗者が亡くなってしまったというものでしょうか。

どの事例もあまり想像したくはないものですが、自動車を運転している以上、こちらが気を付けていても事故に巻き込まれてしまうことはあり得ます。事故の種類を分けるなら、前者の自動車破損は「物件事故(物損事故)」と言われるものであり、交通事故証明書の右下に「物件」と記されます。

対して後者は「人身事故」であり、人(運転者や同乗者)が怪我を負ったり、死亡した場合とされています。事故の規模によって被害も異なってくるため「物件事故(物損事故)」だけで済むケースもあれば、物件・人身の両方が当てはまるケースもあります。両方の被害が発生してしまった場合には、刑事手続き上では「人身事故」として扱われることとなり、民事・刑事・行政上受けるペナルティが一層重いものへと変わります。

そのため、加害者にとって「人身事故」へと切り替えられることは避けたいところでしょう。しかし、被害者にとっては一生に関わる損害を被ったことになります。身体に障害が残ることで、仕事や私生活への影響が大きいことは言うまでもないでしょう。だからこそ、交通事故に遭ったあとは冷静に自分の身体に受けたダメージを把握しておかなければなりません。事故直後には警察からの事情聴取がありますが、その時点での説明次第で届け出の内容が変わってきます。慎重に話すようにしてください。

補償の範囲を知ろう

自分が遭遇した交通事故が、警察ではどのように届け出がされているのか気になるところでしょう。

ここは、事故後に警察から事情を聞かれた際にどのように説明をしたのかによっても変わってきます。結果が分からない場合には「交通事故証明書」を確認するようにしてください。見方は難しくありません。右下部分を確認してください。そこに「物件事故(物損事故)」か「人身事故」のどちらに該当するのかを記入する欄があります。

では、実際に受けられる補償の範囲や内容はどうなっているのでしょうか。被害者の一生に関わる「人身事故」では、治療費や通院に要する交通費が請求でき、賠償を受けることができます。他にも傷害慰謝料や休業損害など、事故後の生活を補償する内容となっています。また、万一被害者に後遺障害が残ってしまった場合には「後遺障害慰謝料」や「後遺障害逸失利益」を巡る問題となってくるため、事故の規模や受けた被害の大きさが拡大するほどに示談交渉や和解でどこまで損害を補償してもらうことになるのかの判断が問われることになります。

一方「物件事故(物損事故)」の場合には、破損した当該物について、加害者側の保険会社か加害者本人に請求することによって、賠償を受けます。また、警察は「物件事故報告書」と呼ばれる簡易報告書を作成することになります。いずれの場合にも加害者に請求する内容が少なくないことが分かるでしょう。「人身事故」によって加害者側に生じる責任の重さからも、重大な問題であることが分かるはずです。それだけに、被害者側は慎重に被った損害の大きさを見極めて、確実に補償してもらえるようにしなければいけません。

物損事故から人身事故に切り替えるには?

交通事故の怖いところは、直後には外傷が見当たらず、特に不調はなくても、後から身体が痛くなってしまったり、最悪の場合には容態が急変して命を落としてしまうようなケースがあることです。交通事故による身体への影響は、事故から時間が経過したあとに現れることがあることを覚えておきましょう。

では、その時点で既に「物件事故(物損事故)」として処理されてしまっていたら、諦めなければいけないのでしょうか。もちろん、そのようなことはありません。後からでも「物件事故(物損事故)」から「人身事故」へと切り替えることができます。取るべき行動としては、なるべく早い段階で病院に行き、外科等、症状の出ている箇所の診療科で治療を受けて診断書を書いてもらうことです。

被害者が受けた怪我と事故の因果関係を疑われることがないように、診察の時点で可能な限り詳細に、事故当時の状況や受けた衝撃、不調について医師に説明してください。その際に、いつから痛み始めたのか、どの部分が痛いのかも、事故の状況を思い出しながら、診断書に反映されることを想定して話すようにしてください。

適切な治療を受けるためであることはもちろんですが、この時点での説明次第で後に損害賠償を巡って争う際の重要な証拠となるのです。そして「受傷日」や「治療期間」などが記された診断書を発行してもらうようにしてください。記載内容は受け取り次第すぐに確認するようにしましょう。このあとは、人身事故に切り替えを行うために警察に連絡して、事前に予約を取ります。診断書や運転免許証などの必要書類の持参も案内されますので、メモを取って忘れずに持って行ってください。

切り替えに失敗した場合の対処

警察に人身事故への切り替えを願い出たあとには「実況見分調書」と「供述調書」を作成するための聴取があります。別々に行うと警察に負担がかかってしまうため、一緒に呼び出される可能性があります。その際に加害者側が人身事故への切り替えに応じないということも考えられます。

もちろん、諦める必要はありません。医師に詳細に説明して作成してもらった診断書を提出しているのですし、事故で損害を受けた車両があるのですから、怪我を負っていることは明らかです。つまり、人身事故である証明は十分満たしていると言えるのです。

加害者側が頑なに認めないような事態に遭遇してしまった場合には、事故に遭った車、もし既に修理を終えた後であれば見積書を持参して警察に出向きましょう。そして、自身が人身事故に遭ったのだという事実と、診断書で医師が認めていることを強く主張することで警察に人身事故への切り替えをしてもらうように説得するのです。ただし、注意が必要なことがあります。人身事故への切り替えを行う上での期間の制限というものは存在しませんが、事故後かなりの時間が経過したあとに人身事故への切り替えを行おうとすると、今度は警察側が難色を示してくる可能性があります。

つまり、被害者側が負ったと主張している怪我が本当に事故によるものなのか、もしかしたら事故の後に負った怪我を補償させようとしているのではないかと怪しまれてしまうことになるのです。これは加害者を相手にした場合よりも厄介です。交通事故に遭ったあとは時間との勝負であることを意識するようにしてください。その場で症状が出ていなくても、すぐに病院に行くことで、診断書という確実な証拠を手に入れるようにしましょう。

人身事故への切り替えは必ず行うべきなのか

稀に人身事故に切り替えることなく怪我の補償をしてくれることがありますが、そのような場合でも切り替えは行った方が良いでしょう。後々相手と争う際に、事故の状況について主張が食い違ってしまった場合に面倒だからです。人身事故に切り替えれば、警察から「実況見分調書」を作成してもらえます。過失割合を争う際に有益な証拠となることも利点の一つです。交通事故に遭ったときには判断を焦らず、先を見据えた行動が必要です。